黒地の小紋は,何度か若い友達に着せたことがあります。「お母さんのお下がりが着たい」ということで着付けしました。ちょうど私より一回りくらい上のお母さんのお嬢さんたちです。
その中で今回の作品とよく似た着物を着せたお嬢さんは,普段は天然の入ったぽーっとした雰囲気で,それでいてとても頭の良い人でした。あまり女性っぽさは感じさせない人だったのに,その着物を着た途端,その人の内から滲み出る女性らしさにとても驚かされたのを覚えています。帯はこなれた生地だったので,柔らかいひだをたくさん作った帯結びを合わせました。やはり着物は,着てみないとその良さが出ないものなんですね。