0013 桜重ね
東京に住んでいた頃,家の横に親水公園があり,桜並木がその公園沿いにずっ〜と続いていました。家は3Fだったので,流れのように続く桜並木を上から見たり,夜に電気を消して桜の花がベランダ越しに揺れるのを見たり,桜色の朝日に起こされたりと,桜の季節は何とも言えない贅沢を味わっていました。一日中桜に囲まれた生活でした。東京であんなに恵まれたところに住めたなんて,今思えば本当に夢のような話です。
主人もその頃,ここは今までの人生の中で一番良い家だと言っていました。1LDKという決して広くはない部屋だったけれど,東京という大都会で桜や自然に囲まれて暮らせたことは,北海道生まれの私にとって,そこでの生活をとても穏やかなものにしてくれていたんだなぁ…と今更ながらに思い出されます。
この着物は,その時を思い出しつつ,桜づくしにしてみました。